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キリスト教保育 共に生きる保育 自由保育                                                  スマートフォン版

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〒314-0031 茨城県鹿嶋市宮中7丁目10-7

園長コラムcolumn

ともにつむぎだす 〜希望の中で〜


輝く命
 カーニバルの際には、多数の保護者の皆様にお集まりいただき、ありがとうございました。天候にも恵まれ、新たに整備された、広いにじのお庭で、親子プログラムにもご参加戴き、赤ちゃんから、おじいさんおばあさんまで、幅広い年齢の皆さんの笑顔が溢れる、嬉しい時となりました。

 笑顔の中心には、子どもたちの「輝く命」があります。
        
 キリスト教保育を実践する鹿島幼稚園を支えるのは、神様の愛です。聖書には、イエス様によって、人間は永遠に神に愛される者とされたと記されていますが、神様の愛は、生まれたときから、降り注がれ、それは天国までも続きます。
        
 実りの秋を迎えて、鹿島幼稚園の子どもたちは、神様の愛に守られつつ、大きな成長を続けています。ご家族と共に、命を輝かせながら過ごしている子どもたちのそばで、日々の成長を見守り続けていきたいと思います。
        
                               【2023年11月】
あきのこどもカーニバル
 今年の鹿島幼稚園カーニバルのテーマは、「あきのこどもカーニバル」です。

 多くの皆様のお祈り、お支えにより新たに完成した広い園庭「にじのお庭」で、コロナ以降、久しぶりに1日の全園のプログラムとして開催できますことを心より感謝します。
        
 鹿島幼稚園では、運動会という言葉を使わず「カーニバル」と呼んでいるのですが、それは、競争ではなく、子どもたちがそれぞれ成長した体を一杯動かして、成長の喜びを楽しく分かち合うお祭りとしたいという願いからです。
        
 運動の祭典というとオリンピックがありますが、私は、オリンピック終了後に開催されたパラリンピックにも感動しました。その中に、ゴールボールという競技があります。ゴールボールとは、3人対3人で、目隠しをしながら鈴の入ったボールを転がして、ゴールに入れることで得点する視覚障がい者の球技で、第2次世界大戦で傷を負った兵士のリハビリテーションとして考案されたという歴史があって、ヨーロッパでは盛んに行われているそうです。目に見えない相手選手の足音や、かすかな鈴の音を頼りにシュートを防ぐためには、大変な努力が必要だと思います。3人で力を合わせてゴールを守るには、絶妙なチームワークも必要です。日常生活の中でもおそらく数多くの苦難を乗り越えてこられたであろう選手たちが勝利の瞬間に流す涙は美しく、清々しい感動を受けました。まさに、平和の祭典、オリンピックにふさわしい種目だと思います。
        
 世界各地で戦争が絶えない現実がある中、鹿島幼稚園の小さな子ども達の元気な笑顔は平和実現に向けての大きな希望です。カーニバルでも、神様に愛されつつ、日々育まれている一人一人が、一緒に身体を動かし心を豊かにされ、心から喜び合える恵みの時を過ごしたいと願っています。
        
                               【2023年10月】
滅びないもの
 一号認定児のみなさんは、長い夏休みが終わり、秋期保育が始まりました。皆さんはどんな夏休みを過ごされたでしょうか。子どもたちは皆、それぞれの経験を糧に、さらに成長したことでしょう。

 今年の夏休みも、台風が襲ってきたりして、全国各地で大変な水害に襲われました。被害に合われた方々に、神様のお守りを心よりお祈りします。鹿島幼稚園では、災害に備えて、耐震工事を行なったり、自家発電機を設置したりして備えていますが、先月は、子どもたちやスタッフの長年の願いでもあった、にじのお庭の拡張工事も無事完了しました。保護者有志の皆様にも、物心両面に渡ってご協力戴いてきたおかげであることを心より感謝いたします。今後も子どもたちが安全に、快適に園生活を送れるよう、随時、環境整備を行っていきたいと考えています。
        
 近年は、異常気象によって世界各地で建造物が倒壊するなどの被害が出ていますが、洪水によっても、何が起きても失うことのないものがあると聖書は教えてくれています。それは、永遠に消えることの無い神様の愛です。変わることの無い愛に、子ども達は、守られ、育まれているのです。
        
                               【2023年9月】
子どもたちに平和を
 一号・未認定児のみんなは夏休みとなります。2号・3号認定児のみんなも、夏ならではのプログラムを楽しみながら、元気一杯に鹿島幼稚園の八月を過ごしていきたいと思います。

 八月は、広島、長崎に原爆が投下され、十五日に敗戦を迎えたという記念の月です。子どもたちに平和を伝えていく大切なときでもあります。ウクライナの子どもたちにも、一日も早く平和な日が訪れることを祈りたいと思います。
        
 鹿島幼稚園では、子ども同志の世界を尊重する方針を大切にしています。例えば、子ども達は時に、自分の主張を貫くために、友達と喧嘩もします。但し、子ども達の喧嘩は、仲が良い関係の中で生じます。夢中になって遊んでいれば、当然、お互いが自己主張をするので喧嘩も起こるのです。しかし大抵は、大人が仲裁しようかと身構える間も無く、ケロッとして一緒に遊び出すものなのです。下手に大人が間に入ると「どちらが先に手を出したの?」「どちらが悪いの?」と「裁判官」になってしまうのです。子ども達は、喧嘩をすると同時に、壊れてしまった友達との関係を修復する力を持っています。大人は、そこを信頼して、怪我等の危険性が無い限り、見守りながら、できるだけ口も手も出さないことが、その子どもの人間性を認め、その子どもを一人の人間として愛し、成長させることに繋がるのです。大人との関係が強すぎると、そういった、子どもが本来発揮出来る可能性のある力を奪ってしまうことになり、子ども同士が対等の関係を楽しむ力を弱めてしまうことにもなるのです。
        
 平和は、上からの圧力によっては決して実現しないということ、そして、平和の特徴は、何より弱い者が喜んで生きることができる世界だという原点を親子の関係の中でも実感しながらこの夏を過ごしていただければと願います。
        
                               【2023年8月】
ことばを大切に
 鹿島幼稚園では、保護者向けに「メール配信サービス」を利用していて、登録していただくと園からの「お知らせメール」が届きます。一斉メール発信サービスというのは便利なサービスなので、子どもたちが園で楽しく過ごせるよう、今後も活用していきたいと思います。

 一方で、ネット社会を迎えている中では、最近「SNSの功罪」といった問題もよく取り上げられています。
        
 尾木ママこと、教育評論家の尾木直樹さんは、著書『「ケータイ・ネット時代」の子育て論』(新日本出版社)の中で、「インターネットやケータイを悪用した学校における『いじめ』や『学校裏サイト』、『チェーンメール』『前略プロフィール(プロフ)』による嫌がらせ、友達間のトラブルが日増しに増えています。これらネットトラブルは子どもたちの友達関係を壊すだけでなく、人間への不信感を植え付け相手を傷つける事件や事故に発展しかねないほど危険に満ちています。」と述べておられます。
        
 本来、微妙なニュアンスが難しい日本語なのに、相手の顔が見えないメールでは、言葉だけが独り歩きしてしまい、無用なトラブルに見舞われかねないというのは、子どもの世界だけの話ではなくなっています。
        
 やはり、コミュニケーションというのは、相手の表情を見ながら、「生の声」を聴いてなされるべきなのでしょう。子どもたちも、そのようにして、他者との関わりを深めながら成長すべきなのです。今後も、子ども同士、保護者の皆様、スタッフ一同との豊かな「ことば」によるコミュニケーションを大切にしながら、互いに豊かな関係を形成していきたいと願います。
        
                               【2023年7月】
神の園
 聖書の中で、一番最初の『創世記』には、神が最初の人を楽園、「エデン」に住まわせたという神の園、「エデンの園」のお話しが書かれています。

 鹿島幼稚園は、鹿島にまだ開発の始まらない頃、鹿嶋市が「鹿島郡鹿島町」であった当時、この地には幼稚園が無く、「鹿島の子どもたちに楽園を」というビジョンに燃えた鹿島教会によって鹿嶋で最初の幼稚園として創設されました。
        
 以来、鹿島幼稚園の子ども達は、日々、神様の愛に守られながら、神様に与えられた「神の園」である楽園に生きる恵みをたっぷり受けて、喜びの日々を送っています。特に、これから夏へと向かう中では、気候の移り変わりと共に、遊びのバリエーションも増えて、活動の幅も拡がります。
        
 最近、「これは、カメムシじゃなくてかみきりだよ。」とかごに入れた虫のことを嬉しそうに教えてくれた男の子がいました。「園長先生〜、これ見て。」と、園庭で見つけた小さな貝殻を手のひらで大事そうに包みながら見せてくれた女の子もいました。
        
 春にスタートしたそれぞれの新しい歩みが、夏の草花や虫たちを「発見」したり、お友達との交わりも深めながら、更にゆかたな一歩となるよう見守っていきたいと思います。
        
                               【2023年6月】
「遊ぶ」力
 世界で最も教育が進んでいると言われている国は、オランダです。オランダの学校には、時間割も無く、日本のような学年も無く、子ども達が、学ぶことを自分で考え、縦割りのクラスでは、年長者が年少者に勉強を教えているそうです。そこでは、自分で考える力が養われ、オランダの社会を形作っていく「大人」としての力が養われています。

 鹿島幼稚園も、認定こども園なので、幅広い年齢の子どもたちが集い、豊かな交わりを持ちながら、日々過ごしています。
        
 園が大事にしている「自由保育」は、一人一人の子ども達がドロンコ遊びや砂遊び、お部屋での積み木遊びなど、様々な遊びを通して自由に交わり、遊べる力を養うことを大切にしています。「遊ぶ」力は、「学ぶ」力を養い、将来は、それが「自立して生きる力」へと繋がっていくからです。
        
 毎日、友だちと楽しく遊ぶことを通して、時にはケンカをし、仲直りすることを通しても学ぶ、それによって、人間関係を更に豊かなものとしていく、そのような小さな、しかし、大切な経験を重ねていくことが、将来、例えば国際的な場面でも活躍する「人間力」を育てるのです。
        
                               【2023年5月】
遊びはじめる
 進級、そして入園おめでとうございます。

 在園児は一つクラスが進級し、新しいお友達を迎え入れます。大きくなったことを誇りに感じる在園児と、初めての環境で親と離れて少し不安を感じている新入園の子どもたちが、一緒に生活をすることになります。
        
 園は、子どもの生活の場でもあります。子どもにとっての生活とは、伸び伸びと遊ぶことです。子どもの遊びの世界は、砂場、木のお家、三輪車、ブランコ、サッカー、積み木、お絵描き、お散歩・・・だけでなく、食事やお昼寝、トイレに至るまで、園で過ごす時間の全部が含まれます。一人で黙々と、何かに夢中になっている場合もあります。小さな木切れを手の平でつかむと、それは魔法にかけられたように、電車やバスに変身します。変身したその「車」は、子どもたちの手によって、ウットリと見とれるような軌跡を描きます。大人には想像できませんが、子どもは、モノを何かに見立てた世界で遊ぶ能力を持っています。また、子どもは好きな絵本を幾度も繰り返して読んでもらうと、内容を覚えて、自分が絵本の世界へ入り込んでしまう力も持っています。
        
 鹿島幼稚園は、一人一人の子どもたちが、それぞれの豊かさをいかしながら、仲間達と共にいろんな遊びを通して楽しく、豊かに学べる世界を作り出したいと願っています。
        
   (今年度も、このコラムは、大塚園長が毎月執筆していきます)
        
                               【2023年4月】

つながって 〜今、わたしを生きる〜


祈りの中で
 いよいよ、春が近づいてきました。今年度の最後の時期を迎えて、子ども達がこの一年も、たくさんの経験を通して、心も体も大きく成長したことを共に喜びたいと思います。

 先日、ある男の子が、「鹿島幼稚園は、誰が買ってくれたの?」という質問をしてくれて、個性的で、おもしろい発想だなあと感心しました。「鹿島教会の人たちだよ。」と答えると「ふーん、良かった。」と嬉しそうに答えてくれました。
        
 鹿島幼稚園は、六十七年前に、まだ幼稚園の無かった鹿嶋の子どもたちの楽園をという鹿島教会メンバーの祈りの中で誕生しました。以来、鹿島教会は園の子どもたちが守られ、すくすくと育っていくことを願い、祈り続けています。教会は、毎週日曜午前十時三十分から日曜礼拝を守っていて、春のイースターや冬のクリスマス等には、子どもたちへのプレゼントも準備していますので、どなたでも、自由にご参加ください。
        
 この一年も、祈りの中で、子どもたちは、ご家庭で、そして、園で、周りから愛情をたっぷり注がれて、それぞれの個性を生かしながら、豊かな発想のできる元気な子達に育ちました。これからも、自由に伸び伸び育っていけるよう、神様のお守りと導きを心から祈り続けています。
        
 (一年間お読み頂き、ありがとうございました。園長:大塚 愼)
        
                               【2023年3月】
希望を蓄えて
 「僕ら、同志社大学聖歌隊で出会って、一路、二人で鹿島に直行し、それ以来六十六年間、彼女は『カナリア』と呼ばれ、朝から晩まで歌い続け『教会と幼稚園作り』に全力投球をしてきた。…」これは、先月、鹿島教会で守られた、青木昭子さんの召天一年記念礼拝に際して送られた鹿島幼稚園初代園長青木敬和牧師のメッセージの一部です。

 「球根の中には 花が秘められ、さなぎの中から いのちはばたく。寒い冬の中 春はめざめる。その日、その時をただ神が知る。」『讃美歌21』五七五番より
        
 この讃美歌を作詞作曲したのは、アメリカ・メソジスト教会の牧師夫人、ナタリー・スリースさんです。
        
 寒さの中、やがて来る春を待つ球根の中には、花が秘められているように、今は、内側に向かい力を蓄えることが大切な季節です。キリスト教を世界に伝えたパウロという人は、「あなた方は神様が天で『蓄えて』下さった希望に満たされることによって生き生きと過ごせるのだ」と語っています。
        
 寒い毎日ですが、青木園長ご夫妻が愛情を注ぎ続けて下さった鹿島幼稚園の子ども達が、今も、神様の恵みである「希望」を心にたっぷりと蓄えながら元気に過ごせていることを感謝しています。そして、神様の恵みによって、胸一杯にため込んだ「希望」というパワーのおかげで、やがて来る春の日々には、それぞれが、元気いっぱいのステキな花を咲かせることが出来るのです。
        
                               【2023年2月】
喜びにあふれた
 あけまして、おめでとうございます。二〇二三年も、鹿島幼稚園に連なる各ご家庭と共に、神様に与えられた子育てという恵みを大切に担いたいと思います。教会のカレンダーでは、一月六日が、あの東方の博士たちが、幼な子イエスを訪ねた記念日とされています。聖書には、博士らが、幼な子の居場所を指し示す星を見て「喜びにあふれた」と記されています。

 昨年は、ウクライナの悲しみと痛みの内に暮れました。戦争による被災者の上に、神様のお守りをお祈りします。鹿島教会では、ウクライナ支援の募金を続けていますが、園でも、クリスマス献金から支援への協力をいたしました。一方、国内では、東日本大震災からやがて十二年の時が経とうとしていますが、傷跡は、まだ多くの地域で残され、それを見る度に、被災者の方々は心を引き裂かれる思いでおられると思います。振り返って、私たちそれぞれの人生の歩みにも悲しみの道標が立てられています。それぞれの悲しみに、神様が寄り添って下さることを覚えて、心を強くしたいと思います。
        
 子どもたちも、これから長い人生を生きていく中では、ときに心痛む出来事に出遭う事が有るかもしれません。しかし、その度に、神様がそばにいてくださること、そして、東方の博士たちを喜びに溢れさせた何よりも大きな救いのしるしを輝かせて下さったことを感謝し、新しい年を喜びに溢れつつ共に歩んで行きたいと思います。
        
                               【2023年1月】
クリスマスの出来事
 私は今まで、長男、長女、そして三男と、三度の立ち会い出産を経験しました。ちなみに、次男の時も立ち会いたかったのですが、日曜日の礼拝中だったのでできませ立ち会えませんでした。生まれた直後の我が子を抱く喜びは、子育ての原点として、いつまでも記憶の中に深く焼き付いています。

 クリスマスは明るくて、あたたかくて、嬉しくて、喜びに満ちた時です。この喜びは、イエス様の誕生から出発しています。誕生の場にいた人々がイエス様をだっこして、そのあたたかさとホッとする安心感が順番に伝わって来て、今の私達まで届いているのです。
        
 しかし、聖書は、イエス様が生まれたのは馬小屋だったと伝えています。その頃、人口調査が実施されている最中で、自分の故郷(本籍)で登録をするために、旅をする人々で宿屋は満員でした。イエス様は、寂しく、寒さと貧しさの中で生まれ、ボロ布に包まれ、飼い葉桶に寝かされていました。人々で溢れていた真っ直中にもかかわらず、誰にも知られることなく、ひっそりと生まれたのがイエス様でした。
        
 弱者を排除する社会の中で、それまでは「ダメな人間だ」と冷たいレッテルを貼られて、寂しさの中に生きていた人々は、イエス様に「きみは そのままでステキだ」と語りかけられ、その言葉から、生きている喜びを感じ、人々と手をつないで温かさを共有し、生き方全体に喜びが溢れるまでになったのです。
        
 今年も鹿島幼稚園では、みんなでクリスマスを喜ぶ時を持とうとしています。
        
 神様に愛されている温もりを知っている子ども達が、その喜びと温かさを表現しようと嬉しい気持ちで準備しています。
        
                               【2022年12月】
わたしを生きる
 子どもや子育てに関する著書を多数刊行されている小児科医の毛利子来(もうりたねき)先生は、『新エミール 育児と教育について』(筑摩書房)の中で、こう述べておられます。

 「幼児の時代は、日の出。…輝く太陽が昇り、あたりは陽光にみちあふれ、全てが鮮やかに立ちあらわれる。」
        
 また、脳科学者の澤口俊之先生は、著書『「やる気脳」を育てる』(小学館)の中で、「前頭前野が、5歳ころをピークにして8歳ころまでに発達していく勢いには目を見張るものがあります。」
        
 人間の細胞分裂には回数の限度があり、やがては老化してゆく存在です。しかし、人間の「死」という限界を「復活」という奇跡で打ち破ったキリストのことが記されている聖書の言葉に触れる時、生物として生きているか死んでいるかではなく、人間として自分が本当に生きているといえるのだうか、すなわち「わたしを生きている」のだろうかと問うことの大切さを痛感します。
        
 子ども達が「わたしらしく生きる」ためには、子どもを抑えつけたり、枠にはめたり、強制的に、大人が考えたプログラムをやらせたりすることは不要です。
        
 鹿島幼稚園の子ども達は、それぞれが「わたしらしく生きる」ための力を育むべく、仲間達や園スタッフ、そして、何より神様の愛に見守られながら、自由な遊びを通して、それぞれの発達に必要な経験や学びを重ねつつ、日々成長し続けているのです。
        
                               【2022年11月】
つながって
 私は、同志社大学神学部の学生時代に、三度、ネパールを訪れました。日本とは全く違う文化、価値観に触れ、人と人とのつながり、「共に生きる」とは何かという事について、多くを教えられました。ネパールにはシェルパ族と呼ばれ、エベレスト登頂をサポートする事を仕事としている部族の人々がいます。その部族には「サンガイ・ジウネ・コラギ」という言葉が伝えられています。「みんなで・一緒に・生きるために」という意味です。厳しい環境、貧しさの中では、みんなでつながっていなければ生きる事はできない現実の中、代々受け継がれてきたすばらしい言葉です。物質的に豊かではあっても、個人主義が行き過ぎて、自己中心的な考えが広がっている日本社会に生きる私たちが忘れてしまった大切な物を教えてくれる言葉でもあると思います。

 今年度の園のテーマは「つながって」で、今年の年長カーニバルのテーマも「つながる」です。神様に愛されながら、日々育まれている一人一人が、一緒に身体を動かし心を豊かにされ、つながって協力し合い、共に心から喜び合える恵みの時を保護者の皆様と共に楽しく過ごしたいと思います。
        
                               【2022年10月】
イエスによる出会い
 一号認定児のみなさんは、長い夏休みが終わり、秋期保育が始まりました。

 皆さんはどんな夏休みを過ごされたでしょうか。子どもたちは皆、それぞれの経験を糧に、さらに成長したことでしょう。

 私は、宇治教会附属愛児園園長時代、キリスト教保育連盟関西部会京都区長の役を担当して、各月で開催される研修会の準備をしました。全国の園で、子どもたちのための学びがなされている中、鹿島幼稚園でも、夏休み期間に、園のスタッフは、更なるスキルアップを目指して様々な研修を受けています。

 鹿島幼稚園が実践しているキリスト教保育の原点は、聖書に記されているイエス・キリストの愛です。

 鹿島幼稚園の子どもたちは、自然に恵まれた環境の中で、四季の移り変わりを感じながら、虫たちや草花を新たに発見したり、また、それぞれの体の成長に合わせて、外遊びが少しずつダイナミックになっていったり、そして何より、神様の愛につつまれながら、日々、仲間達との新たな出会いを重ねることで、人を愛する心を豊かに育まれて、一歩ずつ成長を重ねていくのです。
        
                               【2022年9月】
光の子
 一号・未認定児のみんなは夏休みとなります。

 初めて、ご家族の元を離れ、集団生活を経験し、ドキドキ・ワクワクの毎日を過ごした年少さんもいました。そして、一つ大きくなった喜びや自信を胸に過ごし、同時に、周りの様子をしっかり理解できるように成長したことによって、時にはプレシャーなども感じながら、更に、お友達との遊びを深めていった年中さん。園生活の集大成の年を迎えて、心も体も大きくなって、フルパワーで楽しんだ年長さん。みんなが心を動かし、体も動かして、よく遊んだ春期保育でした。

 2号・3号認定児のみんなも、夏ならではのプログラムを楽しみながら、元気一杯に鹿島幼稚園の8月を過ごしていきたいと思います。

 聖書には、「わたしは世の光である」というイエス様のことばが有ります。光は、神様の恵みを表わしています。子どもたちは、イエスさまの光の恵みに包まれる「光の子」です。光を受けた子どもたちは、やがて自らも輝きを世に放ち、世界を照らす光となるのです。夏は、その神様の恵みである光があふれる季節です。今年の夏も、コロナへの心配はありますが、それぞれ、感染防止に留意して、生活リズムも大切にしながら、神様の恵みの中、親子の時間を元気に、そして、ゆったりと過ごしてください。そして、、共に、元気いっぱいの秋を迎えましょう!

                               【2022年8月】
豊かな子育てのために
 子どもたちの健やかな成長と保護者の皆様の心の安定とは、深い関わりがあります。

 お母さんにとって、おなかの赤ちゃんの心を感じることに始まる子育ては、生まれてきた子を見つめ、見守り、更には、存在の全てを認めることへと進んでいきます。

 その原点は常に、心を感じることです。

 他者の存在、心を感じる為には、まずは、自分自身の心が穏やかでなければいけません。

 主婦として日々を忙しく過ごしておられる方の場合は、家に閉じこもって「逃げ場がない」というように感じておられる方がおられるかもしれません。また、お仕事をしておられる方であれば、職場と家庭の両方のことで、てんてこ舞いという方も多いのではないかと思います。
        
 そのような場合、心地良く過ごせる時間、ホットできる時間を作ることはとても大切で、それが、人生の豊かさにつながり、豊かな子育てにもつながります。

 認定こども園には、保護者支援という大切な使命がありますが、鹿島幼稚園も、何かとご苦労の多い保護者の皆様に寄り添い、子どもたちの豊かな成長を支援するため、子育て、家族の問題、人間関係の悩みなど、保護者の皆様が、ひとりで悩むことの無いよう、できるだけはやく解決できるように一緒に考えたいと願っています。お子様のことで、何か心配なことが有りましたら、まずは担任までご相談ください。また、「副園長 内野邦子(NPOファミリーコンサルタント・スーパーバイザー)の相談室」も設けていますので、園までお気軽にお電話ください。

                               【2022年7月】
ぶどうの木
 歴史的に見て、聖書に出てくる食べ物は、記録として最も古い物が多くあるのですが、食は、命に関わる大切な物です。子ども達に大切な栄養を送る源となるのも、毎日の「食」です。

 鹿島幼稚園の0,1歳児は、「ぶどうの木のおへや」で過ごします。ぶどうの木のおへやという名前のルーツは、イエス・キリストが、自らを「ぶどうの木」に譬えて、ぶどうという食べ物を用いて、神の愛を教えたことにさかのぼります。

 ぶどうの木は、地下二十五メートルもの深さまで、根を張ります。神様の深い愛によって、私たちの命の実が養われているということを象徴しています。

 鹿島幼稚園の子どもたちは、毎日、お家の方が愛情込めてつくったお弁当、また、マンナルームスタッフが心を込めてつくった給食を食べています。子どもたちは、毎日の食事を楽しみにしています。みんな、遊びの時間は大変にぎやかなのですが、食事の時間は、誰もいなくなったのかと思う程、シーンとしています。みんな、食事に集中して、一生懸命食べているからなんです。コロナで、「黙食」が勧められるようになりましたが、鹿島幼稚園では、以前からずっと、自然に黙食していたんです。私も、園長として、毎日美味しい給食を戴いていますが、マンナルームに食器を返す子どもたちが、「ごちそうさま」、「おいしいごはんをありがとうございました」と嬉しそうに感謝の言葉をかけている様子をいつも微笑ましく思いながら見ています。

 鹿島幼稚園の子ども達は、食事をしっかり摂って、体も、心も神様の恵みに満たされて、元気一杯に成長していきます。

                               【2022年6月】
心に寄り添って
 新しい年度のスタートを迎えた4月も終り、爽やかな新緑の風が吹く5 月を迎えました。環境の変化という不安の中、部屋の中で遊ぶことが多かった子ども達も、園の様子やお友達にも少しずつ慣れていくことにより、元気に外へ飛び出していくようになりました。

 緊張がとけてきた子どもが増えている一方で、新しい生活に慣れようと一生懸命な子もたくさんいます。慣れるスピードもそれぞれの個性なので、一人一人が無理無く、それぞれのペースで楽しみを増やしていけることが大切です。

 園生活にようやく慣れはじめたけれど、5月の連休明けにはまた、4月当初のように泣いたり、不安がったりということが起こる時期でもあります。それぞれの思いを受け止めながら、それぞれの歩幅に合わせた保育を心がけたいと思います。

 世界中でコロナ感染への心配が、なかなか終わらない状況ですが、鹿島幼稚園では、園医をはじめ、様々な方々のお支え、ご指導を戴きながら、保育を継続できていることを改めて感謝申し上げます。

 子どもたち一人一人の心に寄り添って、一人一人の歩幅で、しっかり歩み出せるよう見守っていきたいと思います。

                               【2022年5月】
希望を失わない心
 進級、そして入園おめでとうございます。

 桜の花が咲くころになると、教会では、毎年、イエス・キリストの復活をお祝いするイースター礼拝を守ります。鹿島幼稚園の屋根には、大きな十字架があります。全世界の教会にかかげられているこの十字架は、神の子イエス様が、人間を救って下さった希望のしるしです。

 鹿島教会から生まれた鹿島幼稚園の子ども達も、日々、神様に見守られながら過ごします。これから始まる毎日も、キリスト教保育を実践する園で、砂場、木のお家、三輪車、ブランコ、サッカー、積み木、お絵描き、お散歩…その他たくさんの遊びを一緒にしますが、全ての子どもたちは、神の子イエス様に守られているので、毎日楽しく、喜びに満ちて、元気に過ごすして、希望を失わない心が豊かに育まれていくのです。

 (今年度も、このコラムは、大塚園長が毎月執筆していきます))

                               【2022年4月】

共に喜んで 〜すべての歩みの中〜


タラントン
 いよいよ、春が近づいてきました。今年度の最後の時期を迎えて、子ども達がこの一年も、たくさんの経験を通して、心も体も大きく成長したことを共に喜びたいと思います。

 テレビやラジオで活躍している芸能人のことを「タレント」と呼びますが、「タレント」という英語は、「才能・素質・技量」などの意味です。実は、この「タレント」という言葉は、もともと聖書に由来します。新約聖書の時代、古代ギリシャの貨幣の単位に「タラントン」いう単位があって、イエス様のたとえ話の中に、私たちは、神様からそれぞれに「タラントン」=「才能」が与えられていて、それを生かすか殺すかは、私たち自身にかかっているというお話しがあるのです。

 鹿島幼稚園は、園関係者をはじめ、教会や地域の方々等、様々なタラントンを生かしておられる方々の協力を戴いていることを心より感謝いたします。

 鹿島幼稚園の子ども達は、人生を歩み始めたばかりで、その意味で、それぞれのタラントンも生かし始めたばかりです。みんな、これからどんな道を成長しながら歩んで行くのか、本当に楽しみです。これからも一人一人に与えられたタラントンを充分に活かしながら歩んでいけるよう、神様のお支えとお導きを心からお祈りしています。

 (一年間お読み頂き、ありがとうございました。園長:大塚 愼)

                               【2022年3月】
新たな歩みへ
 今年度も残り2ヶ月となりました。この二年程は、子ども達の日常を守るためにコロナ対策という深刻な項目が加えられることとなりましたが、幸い、クラスター等心配な状況になることはなく、元気に過ごせたことを感謝しています。また、この間、保護者の皆様にも、感染防止のために多くのご理解、ご協力を戴いたことを心より感謝申し上げます。子どもたちの成長していく様子を目の当たりにすると、どんな状況になっても、子ども達の成長の歩みは止まらないのだということを実感します。

 年長さんは鹿島幼稚園での歩みをやがて終えようとしています。年中さん、年少さん、そして、ぶどうのお部屋のみんなも、この1年間、頑張って歩んできました。

 聖書の中に、多くの言葉を残しているパウロという人は、ヨーロッパを歩き回ってキリスト教を広めた伝道者です。パウロは、自分が歩んだ道は、神様が全てご存知であること、人に褒められるのではなく、神が「栄冠」を下さる事が何よりの喜びであり、誇りであると語っています。

 鹿島幼稚園の一人一人の歩みにも、神様が、輝く栄冠を与えて下さり、更に新たな歩みへと送り出して下さることを感謝しつつ、子ども達の日々の歩みを見守っていきたいと思います。

                               【2022年2月】
「子育て」という恵み
 日本の人口は、あと30年で一億人を切ると言われています。主な原因は「少子化」です。少子化という現象がなぜ起こっているか、その理由については、様々な事が考えられますが、「子育てをしたくない」という大人が増えている事も一つの理由のようです。子育てに限らず、「子どもが苦手だ」という大人が多くなっているようにも思います。それは、子どもが「自然」というテリトリーに生きる存在であることによります。この世界は、「人間が作った世界」と「作っていない世界」つまり〈人工〉と〈自然〉に分ける事が出来ます。そして、子どもは、〈自然〉の世界に属します。つまり、子育てとは「自然の世界に属している子どもに関わる」という事なのです。「自然」というのは、人間が設計することができないものです。それに対して、どう扱っていいか分からなくなっている大人が増えているという事です。

 オランウータンの子どもは、親離れするまでおよそ8年かかるそうです。その間に、母親は、子どもに生きる術を学ばせます。例えば、幼い子どもが枝を渡ろうとして立ち往生したような時にも、母親は体を抱いて助けるのではなく、じっと見守って、子どもに「どうすればよいか」を考えさせるのです。このような「考えさせて学ばせる」という教育によって、子どもは、知恵や、道具を使うワザを発達させるのです。人間本来の子育ての大切なポイントを教えてくれているように思います。

 この一年も、 新しい一年も、鹿島幼稚園に連なる各ご家庭と共に、神様に与えられた子育てという恵みを大切に担いたいと思います。

                               【2022年1月】
クリスマスの出来事
 幼な子イエスは、飼い葉桶、つまり、家畜の餌箱に寝かされたと聖書は語ります。

 クリスマスを迎えて、街は明るく温かい雰囲気に飾られます。イエスの誕生によって生み出された「明るさ」と「温かさ」は、飼い葉桶に象徴される「暗さ」と「寒さ」に閉じ込められていた人々へ伝わり、広がっていったのです。神の子イエスの誕生は、人間の弱さや孤独、劣等感や強迫観念に襲われて、脅えている人々を愛の温もりで包み込み、生きる喜びへと導いたのです。

 鹿島幼稚園でも、クリスマスの準備が始まりました。しかし、クリスマスになったから特別なことをするのではありません。

 現代社会の子どもたちは、まだ幼いにもかかわらず、大人の価値観に翻弄され、厳しい躾と教育を強要され、中には、善悪の基準で生活全体が縛り付けられて、心を閉ざした「良い子」を演じさせられているという子ども達がいます。そのような子ども達にも、無条件の愛から流れ出るイエスの温もりが、あの馬小屋から届けられる、それがクリスマスです。そして、クリスマスの愛を体験している大人達に抱きしめられ、その時々の自分をありのまま、そのまま表現しながら受けいれられていく中で、子ども達は心も体も安心して、友達と一緒に喜ぶまでに豊かに育つのです。

 イエス・キリストの誕生劇、ページェントも、子ども達が上手に演じる事が目的ではありません。自分を愛してくれる大人達や一緒にいることが嬉しいと感じる仲間とイエスの誕生を素直に喜ぶ、その思いをありのまま表現する事で喜ぶ、それがページェントなのです。クリスマスを迎えて、素直に心から喜ぶ子ども達の様子が、飼い葉桶に眠る幼な子イエスと同じように明るく、温かく、クリスマスの真の喜びが大人にも伝わり、クリスマスの出来事における深い感動が広がっていく、それが鹿島幼稚園のクリスマスです。

                               【2021年12月】
収穫感謝日
 園庭に栗や柿が実り、にじのおうちの畑には、キュウイや蜜柑がたくさんなりました。実りの秋を迎え、今年も色々なプログラムが守られています。ハッピーバザーは、今年もコロナ対策のため中止となりましたが、カーニバルは、学年毎で、今年は保護者参加で行え、盛会となりました。御協力頂いた皆様に、感謝します。

 また、先日、『園のニュース』でもお知らせしました通り、ひまわりの種を収穫して、ひまわり油が出来上がり、給食ではドレッシングに使ってサラダを共に感謝して戴き、ご希望の皆さんにはご購入戴きました。

 教会カレンダーでは、実りの秋の収穫感謝の日は十一月の第4日曜日とされていて、園でも、毎年十一月に収穫感謝礼拝を守っています。この感謝祭のはじまりは、諸説ありますが、一六二〇年九月六日、メイフラワー号に乗ったキリスト教徒たちがマサチューセッツの海岸にたどり着いたことにまつわる説です。彼らは厳しい冬に直面し、生活に困っていたところ、地元のインディアンの人々に助けられ、半数が生き延びることができました。翌年、無事収穫を上げることができ、助けてくれたインディアンの人々を招待し、神の守りに心よりの感謝を捧げたのが始まりと言われています。

 秋の実りへの感謝は、最終的には、それを与えてくださった神様への感謝です。豊かな実りの秋を迎えて、子どもたちは、美味しいひまわり油を始め、いっぱいのおいしい実りにかかわって下さった様々な方々へ、そして神様に感謝して戴き、心も体も満たされつつ成長するのです。

                               【2021年11月】
ジャンプ
 政府による緊急事態宣言が茨城県に発令され、1号認定児の皆さんは夏休みが長くなりましたが、みんな揃っての保育がやっとスタートできて嬉しく思います。

 私の母方の先祖は、長州(山口県)に住んでいたそうなのですが、その長州藩で、松下村塾を主宰し、高杉晋作、伊藤博文、山県有朋等、幕末・維新に活躍した多数の志士達を輩出した吉田松陰の感化力は、世界的にも例が無く、理想の教育者として語られています。松陰は「人材育せざるべからず。(才能を育みなさい)」という言葉を残して、教育のあるべき姿を教えています。それは、一人一人にある長所を伸ばし育むという教育論です。人にはそれぞれ出来ること出来ないことがある。物が同じではないというのは、物の本質である。同じではない人を同じにしようとせず、いわゆるその人の優れた才能を育てることに努めるべきである、という考え方です。受験第一主義の現代日本の教育の問題は、全員を全て同じに取り扱うという点にあります。個人の才能は度外視し、同じ受験問題で合格点を取れば優秀で、それ以外の才能が有ったとしても、問題が解けなければ落ちこぼれ…これは明らかに間違った教育です。ゆくゆくはそれが、国の崩壊にもつながりかねません。色んな才能の子がいる。その才能を認め、伸ばし褒めてあげることにより、他の能力も向上します。日本の学校教育がそう簡単に変わるのは困難でしょう。まずは、保護者一人一人が、親として、その子の個性をどのように育ててあげられるかを考えることが第一歩であると思います。

 今年は、東京オリンピック・パラリンピックで、日本選手が大活躍しました。今年鹿島幼稚園のカーニバルは、園庭で学年毎に、保護者の皆さんにも参加頂いて、開催の予定です。神様に愛されながら、日々育まれている一人一人が、一緒に身体を動かし、心を豊かにされ、心から楽しみながら更に成長し、ホップ・ステップ・ジヤンプできる恵みの時を過ごしたいと願っています。

                               【2021年10月】
ぶつかって
 1号認定児のみなさんは、長い夏休みが終わり、秋期保育が始まりました。皆さんはどんな夏休みを過ごされたでしょうか。子どもたちは皆、それぞれの経験を糧に、さらに成長したことでしょう。

 ニュースで、著名な建築家である安藤忠雄さんがデザインした幼稚園が紹介されていました。広い芝生に大きな丸い石が一つだけある園庭、幼児には広すぎるような「ウッドデッキ」等、各所に拘りがみられるデザインでした。安藤さんは、「この広い庭や廊下を走り回って、ぶつかったらいいんです。子ども同士だから、命に係るような怪我にはならないんですよ。今はぶつからない社会でしょ?ぶつかって『ごめんね』を言い合うことから友達との関係が深まるんです。」と話しておられました。

 鹿島幼稚園の園庭にも、固定遊具は、必要最小限度の物だけを置いています。それは、子ども達の想像力を文字通り「固定」するのではなく、自由に伸ばすためです。子どもたちは、自由な空間の中で、伸び伸びと個性を育んでいきます。時には、お友達とぶつかることもありますが、スタッフは、ぶつからないようにというのではなく、大きな怪我の無いようにという点に注意しながら見守っています。安全な範囲で、伸び伸び遊ぶ中でもし、ぶつかることがあったとしても、そこで謝れることは、人間関係において最も大切で基本的な事柄なのです。ぶつかった先に、笑い合い、ゆるし合える仲間たちとのさらに素敵な世界が始まるのです。

                               【2021年9月】
あそびの「A」
 保護者の皆様には、日頃から、色々ご協力頂き、感謝しています。この一,二年は、コロナの影響でままならない部分も有りますが、鹿島幼稚園は、大人が子どもの歩みにたくさん関わって頂ける園です。「大人が、子どもの歩みにどのように関わるか」ということは、子どもの成長にとって、とても大切なことです。鹿島幼稚園は、子どもの「自由な」遊びをとても大切に考えています。子どもは遊びの中で、その時の心の動きを表現します。ただし、子どもの遊びを大人が変にコントロールすると、心の動きを止めてしまいます。子どもが「心を弾ませて」自由に遊び出す流れをABCの段階で考えてみると、A・しっかりと抱っこをされて、気持が落ち着き、自分と一緒にいる相手を意識する。 B・抱っこされたままではなく、一緒に遊び出す。そして、小さいやり取りから段々大きく心と体が動き出す。 C・いつの間にか大人と離れて、自分の世界で遊び出す…という流れに分けることができます。しかし一般的には、大人がAとBの段階を省略して、子どもをCの段階に放り出しているという場合が多いのです。先日、我が家に飛んできた玉虫を園庭に連れて行ってやると、「カメムシ?」「タマムシだよ」と目を輝かしていました。子どもは、大人には理解できない小さな生き物や物体との遊びを楽しんでいます。楽しいか楽しくないか、良いか悪いか、生きる意欲を育む力、そして、あらゆる判断力をしっかり身につけられるかどうかは、「A」の大人が子どもの心を受けとめ寄り添い、見守る段階が大変重要なのです。

 一号認定児は夏休みとなります。今年の夏も、コロナへの心配がありますが、それぞれ、感染防止に留意しながら親子の時間を大切にし、厳しい夏を乗り越えて、共に、元気いっぱいの秋を迎えましょう!

                               【2021年8月】
はらぺこあおむし
 「…おひさまがのぼって あたたかいにちようびのあさです。ぽん!とたまごから

 ちっぽけなあおむしがうまれました。…」(『はらぺこあおむし』エリック=カールさく 偕成社 より)
 
 先日、鹿島教会の有志で草刈りをしていた時、チョウチョの幼虫を見つけて、この絵本のことを思い出しました。

 作者のエリック=カールさんは、アメリカ生まれでしたが、両親がドイツ人であったため、小さい頃ドイツに移住し、シュトゥットガルト造形美術大学で絵を学び、再び渡米した時に、絵本作家のレオ・レオニの紹介でニューヨーク・タイムズのグラフィックデザイナーとして働くことになりました。ロングセラーとなった代表作『はらぺこあおむし』は、全ページにわたって、カラフルな世界が広がっていて、特に鮮やかな緑とポイントとなる赤が、活き活きとした生命観を豊かに表現しています。そこには、生きる喜びが躍動しているように感じます。カールさんは、今から一ヶ月程前の五月二十三日、マサチューセッツ州の別荘で、静かに生涯を閉じました。九十一歳でした。

 昨年、鹿島幼稚園では、台風で被害を受けた絵本の部屋の改修工事を行ない、2000冊以上の絵本を購入するなど、絵本の充実を行ないました。以前園で講演して頂いた吉井康文さん(前こぐま社社長)は、「絵本の読み聞かせには、スキンシップやアイコンタクト、心が動き、人の気持ちや痛みが分かるということ、コミュニケーション能力や想像力が豊かになるということ等、子どもの成長に必要なものがたくさん詰まっている」と、教えて下さいました。

 コロナのために、外出することもままならないような日が続いていますが、お家でも、親子で心温まる絵本を開いてみてはいかがでしょうか?ほっこりとする時間が過ごせれば、天国のエリック=カールさんもきっと喜んでくれると思いますよ。

                               【2021年7月】
子どもたちのコミュニケーションパワー
 イエス様と十二人の弟子たちで始まったキリスト教は、今や世界へと広がり、その数は、二十三億人と言われていて、世界最大の宗教となりました。それは、神様の愛が、世界中で、いろいろな国の言葉で語られ続けてきた結果です。

 子どもたちも、それぞれの成長に合わせて、それぞれ個性的な、いろいろな言葉でコミュニケーションを取り合っています。
 
 「一番上手な保育というのは、子どもたちがおたがいに気の合った仲間をみつけて、自分たちで相談し合って、おたがいにルールをつくり、あるいは新しい遊びを発見して、コミュニケーションし合いながら、行動するというのがいいのです。子どもたちが自分たちで考えて、だけど一人ではなくて、何人かで生き生き活動している。あっちに、ああゆうかたまり、こっちに、こういうかたまりがあるという感じで行動できているのが、本当の意味で、ともに育っていることなんです。」(佐々木正美著『続 子どもへのまなざし』より。) 児童精神科医である佐々木先生は、子どもたちの成長にとっては、一人でゲームをしたり、習い事をするというのではなく、子ども同士のコミュニケーションを豊かに取り合いながら、「一人」ではなく「共に」育つ事が大切だと指摘しておられます。

 子どもたちは、言葉だけではなく、お互いの表情や仕草などを通しても、豊かなコミュニケーションを取り合う力を持っています。そのように、園で、豊かなコミュニケーションを取りながら「共に遊ぶ」時間が、「共に育つ」時間となるのです。

 神様に見守られながら、共に遊び、共に育ち合い、子どもたちの世界は、豊かに、そして、無限に広がっていくのです。

                               【2021年6月】
神様の力に守られながら
 新しい年度のスタートを迎えた4月も終り、爽やかな新緑の風が吹く5月を迎えました。環境の変化という不安の中、部屋の中で遊ぶことが多かった子ども達も、園の様子やお友達にも少しずつ慣れていくことにより、元気に外へ飛び出していくようになりました。

 緊張がとけてきた子どもが増えている一方で、新しい生活に慣れようと一生懸命な子もたくさんいます。慣れるスピードもそれぞれの個性なので、一人一人が無理無く、それぞれのペースで楽しみを増やしていけることが大切です。
 
 園生活にようやく慣れはじめたけれど、5月の連休明けにはまた、4月当初のように泣いたり、不安がったりということが起こる時期でもあります。それぞれの思いを受け止めながら、それぞれの歩幅に合わせた保育を心がけたいと思います。

 聖書には、人間が、神様の見えない力である「聖霊」に守られていると書かれています。聖書の時代の人々は、風が吹くとそれは、「神様の息」だと感じた感受性豊かな人々でした。この時期、キリスト教では神の力が降って教会が誕生したことを御祝いする「ペンテコステ」というお祭りがあります。

 子どもたちは、風を神様の息だと感じた人々と同じように、豊かな感性を宿しています。清々しい「風」の吹く季節を迎えて、子ども達一人一人に、神様の力が満ちあふれて、元気いっぱいに過ごせるよう、豊かな感性を守り育てていきたいと願っています。

                               【2021年5月】
イエス・キリストが行く手に
 進級そして入園おめでとうございます。

 桜の花が咲くころになると、教会では、毎年、イエス・キリストの復活をお祝いするイースター礼拝を守ります。
 
 イエス・キリストの生涯を記したマタイによる福音書には、復活されたイエスが、弟子たちの行く手に立って「おはよう」と声をかけられたと記されています。この「おはよう」という言葉の元の言葉は「カイラテ」というギリシャ語なのですが、それは「喜びなさい」という意味です。

 これから始まる新年度も、キリスト教保育を実践する鹿島幼稚園で、砂場、木のお家、三輪車、ブランコ、サッカー、積み木、お絵描き、お散歩…その他たくさんの遊びを一緒にしながら、全ての子どもたちが、ひとりひとりの行く手に立つイエス・キリストに守られ、導かれながら、毎日楽しく、喜びに満ちて、元気に過ごすことができるのです。

 (今年度も、このコラムは大塚園長が毎月執筆していきます)

                               【2021年4月】

ことばに満たされる


命の道
 あの東日本大震災から十年が過ぎようとしていた先月、福島の地を震度6強の「余震」が襲いました。幸い、津波は起こらず、死者も出ませんでしたが、建物や道路の被害は甚大です。神様のお守りが豊かにあるよう、お祈りします。

 震災による福島第一原子力発電所事故による廃炉工事は、あと四十年以上かかると言われています。この事故は、自然を甘く見た人類が、経済優先で生きるとどうなるかということを思い知らされた悲惨な事故でした。人類が優先するべきものは、命であるということをこの時、新たに心に刻まねばならないと思います。
 
 イエスは「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父(神)のもとに行くことができない。」と教えました。十字架刑で殺されたイエスは、自らの命を犠牲にして、私たちに本当の命を得させて下さいました。イエスは、私たちを「命」へと導く「道」なのです。

 いよいよ春が近づいてきました。子ども達がこの一年も、たくさんの経験を通して心も体も大きく成長したことを喜びをもって実感されたことでしょう。園までの道、元気に駆け回った園内の小道…いろんな道を通って、春からはまた新しく、それぞれの道を歩み始めます。

 鹿島幼稚園の子ども達は、イエス・キリストがその命をかけて示して下さった道を神様に見守られながら、元気一杯歩んでいくのです。

 (一年間お読み頂き、ありがとうございました。園長:大塚 愼)

                               【2021年3月】
神様が示す地へ
 年長さんと話している時に、時々「鹿島幼稚園に、ずっといたいよ。」という言葉を耳にすることがあります。鹿島幼稚園が大好きなんだという気持ちが伝わってきて、園長として、胸が熱くなります。

 イスラエルの人々は、かつて神様が示される地を目指して「民族大移動」を行なったことが聖書に記されています。居心地のよかった場所を離れることには、寂しさや不安がつきまといます。しかし、彼らは、神様を心から信頼し、どのような場面でも、守り導いて下さる神様に全てを委ね、新たな地へと向かっていったのです。
 
 この一年は、コロナ騒動で明け暮れました。目に見えないウイルスと闘いながら生きることを強いられ、人類はある意味で新たなステージに立たされたと言えます。今のところ、日本では、十代以下の子どもたちに死亡者は出ていませんが、感染者は出ていますし、五月以降に一般に実施される予定のワクチンもまだ認可が下りていない状況です。幸い、鹿島幼稚園でこれまでに感染した子どもはいませんが、今後も感染防止対策を万全に行なって保育を続けていきたいと思います。

 聖書の民と同じように、鹿島幼稚園の子ども達のことも、神様はずっと見守って下さいます。小学校への道も未来への道も、ずっと。

 鹿島幼稚園で過ごした経験を糧に、神様に見守られながら、新しいステップへと旅立つ春は、もうすぐそこに来ています。

                               【2021年2月】
笑うイエス
 昨年は、コロナ感染のため、社会全体が「暗い」一年となってしまいました。暗い社会からは、「笑い」が消えます。

 私は「お笑い」が好きで、バラエティー番組などもよく見るのですが、「笑い」は、病気の予防や治療にも効果があることが究明されていて、身心に様々な良い効果をもたらすことが分かっています。また、「新生児微笑」は、養育者の心を和ませ、乳児は生後2,3カ月頃から自発的に周囲の人に微笑を向けるようになります。これは、社会的微笑と呼ばれるもので、人間が、他者との絆を作る第一歩でもあります。
 
 イエス・キリストは、当時の社会の中で差別された人々また、大人からはじき出された子ども達に深い愛を注がれました。イエスが、お笑いが好きだったかどうかは分かりませんが、子ども達に顔を向けて「抱き上げ、手を置いて祝福された」イエスの口元には、当然、微笑みが広がったことでしょう。イエスは出会いの度に人々に微笑みかけ、喜びと信頼と希望へ導き、貧しい人々、苦難の中にいる人々を癒されました。そして、子ども達の全てを微笑みで受けとめ、その心を成長させる「愛」を示して下さったのです。

 コロナで市内に外出自粛令が発令される中、保護者参加を中止して、予定通りの日程で行なった園もありましたが、鹿島幼稚園は、保護者の皆さんとの触れ合いを重視し、延期して、親子プログラムを実施することとしました。親子での喜びの時を、ぜひ笑顔いっぱいでお過ごし戴ければと思います。そしてこの1年が、みんなの笑顔で満たされるよう、心よりお祈りします。

                               【2021年1月】